今、自分の人生を生きていると胸を張って言える人はどれくらいいますか?
無理に他人の期待に応えようとして、ストレスを溜め込んではいませんか?
今回は、そんな人間関係の悩み・ストレスを激減させるための「課題の分離」という「考え方」をご紹介します。
理解しやすいように2人の心理学者の「考え方」の違いを比較して解説していますので、 さっそく見ていきましょう。
比較対象|マズローの「欲求5段階説」
このピラミッドの図をご覧下さい。
この図は、心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求を5段階の階層で理論化したもので、「マズローの欲求5段階説」と言われています。
欲求5段階説は、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲することを表しています。
①生理的欲求‥生命を維持したいという欲求
②安全の欲求‥安心できる生活空間や命の保障を求めている欲求
③所属と愛の欲求‥家族や恋人・友達・同僚などの共同体の一員に加わりたいという欲求
④承認の欲求‥自分自身に対する評価・他者からの評価に対する欲求
⑤自己実現の欲求‥さらに自分を価値あるものに高めたいという欲求
承認欲求の重要性
今回の記事で解説するもう1人の心理学者「アドラー」の心理学と比較する上で重要になってくるのが「④承認の欲求」です。
承認欲求についてマズローはこのように言っています。
1つは自己の自己に対する評価への欲求です。これは強さや達成、熟達、能力への自信、独立と自由など、自己をより優れた存在だと自認する、いわば自尊心とも言えるものへの希求です。もう一つは他者からの評価に関する欲求です。こちらの欲求では、評判や信望、地位、名誉、栄達、優越、承認、注意、重視などが重要な対象になります。
出典元「マズロー心理学入門」
このような承認欲求が満たされると、自分は世界の中で役に立つ存在だという強い感情が湧いてきます。逆にこの欲求が得られないと、焦燥感や劣等感・無力感などの感情が現れます。
これによりマズローの心理学では「承認欲求」がいかに大事かということが解りました。
中野明さんの「マズロー心理学入門」という本に詳しく書かれていますので、参考に見てみましょう。
アドラーから学ぶ「課題の分離」
続いて、先ほどご紹介したマズローが重要視していた「承認欲求」を真っ向から否定する、アドラーの心理学について見ていきましょう。
すべての悩みは対人関係の悩み
心理学者アルフレッド・アドラーは、「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言います。
私が書いた瞑想の記事でも、ストレスの原因第1位は人間関係であるとお伝えしました。
もしも皆さんが金銭的な自由を手に入れ、幸福になれたとしても、対人関係の悩み・不自由さが消えるわけではありません。
そして、対人関係の悩みは「承認欲求」に集約されます。人間は常に他者から承認を必要としながら生きているのです。
承認欲求の否定
マズローの心理学では、人から認めて貰いたいという承認欲求の重要性をお伝えしました。
しかし、アドラー心理学では‥以下のように「承認される必要は無い」と、それどころか「承認を求めてはいけない」とまで言われています。
他者から承認を求めることを否定します。
他者から承認される必要などありません。むしろ、承認を求めてはいけない。出典元「嫌われる勇気」
他者から認められれば、自分は価値のある人間だと自信が持てるようになり、自己肯定感を得られるはずだと思います。
では、どうして承認を求めてはいけないのでしようか?
承認欲求は不自由
アドラーには、「承認欲求」を真っ向から否定する理由がちゃんとあります。
「承認欲求」は、自分に嘘をつき、周囲の人間に対しても嘘をつき続ける生き方をしなければならず不自由なものだからです。
他者の顔色を窺いながら生きること。他者の望みをかなえるように生きること。確かに道しるべにはなるかもしれませんが、これは非常に不自由な生き方です。
出典元「嫌われる勇気」
それでも承認欲求を満たすという不自由な生き方を選んでしまうのは、誰からも嫌われたくないという思いがあるからです。
しかし、誰からも嫌われないためには、どうすればいいと思いますか?
常に他者の顔色を窺いながら、あらゆる他者に忠誠をちかうことです。
出典元「嫌われる勇気」
10人いたら、10人全員の顔色を窺いながら、嫌われないために自分を押し殺して必死に相手に合わせるというわけですね。
これは、かなりストレスが伴いますよね。
このようにも言っています。
他者の期待を満たすように生きること、そして自分の人生を他人任せにすること。これは、自分に嘘をつき、周囲の人間に対しても嘘をつき続ける生き方なのです。
出典元「嫌われる勇気」
難しいと思うので、親と子供の関係を例に考えてみましょう。
高校2、3年生になると卒業してからの進路を真剣に考えるようになりますよね。
子供は、「自分は勉強が好きではないし、特に夢もない。取りあえずお金を稼いで自立したいから就職を考えている。」
ところが親は、「できるだけ良い大学へ進学をし、将来大企業に勤めて欲しい。そして私達の生活を楽にさせて欲しい。」
子供と親の意見が食い違います。しかし、子供は、「親から認められたい!世間から評価されたい!」との理由で、大学へ進む道を選んだとします。
「本当は就職したいのに、好きでもない勉強をすること」、「文系の方が得意なのに、就職に有利だと親に言われて理系の大学を選ぶこと」
どちらも自分の気持ちに嘘をついていますよね。そして親にも周りの人たちにも自分の気持ちを隠して嘘をついています。
おまけに親の望む人生を歩むことで、自分の人生を他人(親)任せにしています。
他者からの承認を求め、他者からの評価ばかり気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。
これこそが、承認欲求が不自由の理由です。
「課題の分離」とは
今までの流れで承認欲求にはマイナスな側面が多いことが解りました。
アドラーは承認欲求を否定しており、承認欲求に縛られない生き方をするために『課題の分離』が重要だと言います。
それなら、アドラーが言う「課題の分離」がどれだけ優れているのかを見ていきましょう。
他者の課題を切り捨てる
アドラーは「自分の課題」と「他者の課題」に境界線を引き、「他者の課題は切り捨てる」ことが大切だと言います。
「課題の分離」を解りやすく例えたことわざがあるので見てみましょう。
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」
出典元「嫌われる勇気」
いったいどうゆうことなのか、例を挙げて説明します。
勉強をしない子供がいたとします。
親は子供に勉強をするように言ったり、部屋を勉強しやすい環境に整えたりします。 これは「親の課題」です。
しかし、子供が勉強するかどうかは「子供の課題」なのです。
注意点は、放任するのではなく、子供が何をしているのか知った上で、見守ることです。
もうひとつ例をあげます。
付き合っている恋人にラインを送ります。これは「自分の課題」です。
しかし、返信を返すかどうかは「相手の課題」になります。
「課題の分離」を知らないと、相手の返信が遅いのはどうしてか不安になったり、しつこく2度も送ってしまうことがあります。
大切なのは、「他者はあなたの期待を満たすために生きているのではない」ということです。
「ここから先は自分の課題ではない」という境界線を知り、「他者の課題は切り捨てる」習慣をつけましょう。
自由とは他者から嫌われること
アドラーは「自由とは他者から嫌われること」だといいます。
しかし、どれだけ自由になったとしても、他者から嫌われるのは精神的に辛いですよね。
では、アドラーはどうして、そのようなことを言うのでしょうか?
他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり自由になれないのです。
出典元「嫌われる勇気」
相手が、自分のことを嫌っていても、それは相手の課題であって、自分にはどうにもできません。
「相手の課題」とは距離を置いて、自分のやりたい事・自分の課題に集中して取り組むことが自由に生きる方法です。
私自身、この「課題の分離」を意識するようになってから、他人の言動に振り回されなくなり、自分のやりたい事(ブログ・勉強・趣味)に集中して取り組めています。批判的な意見を耳にしても、それは「相手の課題だから」と受け流すことができるようになりました。
皆さんも幸せになるために「嫌われる勇気」を持ちましょう。
アドラーの「課題の分離」をご紹介するうえで、参考にさせて頂いた本が、岸見一郎さんと古賀史健さんが書かれた「嫌われる勇気」です。他にも面白い内容が満載なのでぜひ、手に取ってみて下さい。
まとめ
今回、「課題の分離」をご紹介しましたが、なんだか冷たい考え方だと思った方もいるかもしれません。
しかし、決して冷たいのではなく、差し伸べれば手が届く、けれど相手の領域には踏み込まない、相手との適度な距離感が大切だということです。
あなたの人生に「課題の分離」を取り入れて、人間関係の悩みを無くし、より充実したものにしていきましょう。
今後もこのような使える心理学の知識や、人生の生きづらさの解決策など様々な情報を提供していきます。
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